平均利益10pips未満のスキャルピングEAは本当に勝てるのか? 〜コストとの戦いを制する者だけが生き残る〜
平均利益5pips。
勝率85%。
数字だけを見ると、非常に魅力的です。
しかし、平均利益が10pips未満のスキャルピングEAは、
本質的に「取引コストとの戦い」です。
設計や環境次第では、簡単に手数料負けします。
一方で、コストを極限まで抑えた環境では、
長期的に利益を積み上げている事例も存在します。
成功と失敗を分けるものは何か。
構造的に整理します。
1. 取引コストが及ぼす破壊力
■ 薄利の罠
例:5pipsを狙うEA
ドル円往復スプレッド1.5pips
→ 利益の30%が最初から消えます。
さらに、決済時に1pips不利なスリッページが発生すると、
実質利益は2.5pips。
利益の半分が消滅します。
これは理論ではなく、
リアル環境では日常的に起きる現象です。
■ 手数料負けの現実
ECN口座(ナノスプレッド口座等)はスプレッドが狭い代わりに取引手数料が発生します。
低pips利確型の場合、
● 勝っているのに残らない
● 勝率が高いのに口座残高が増えない
という現象が起きます。
これはロジックの問題ではなく、
設計とコストの不整合です。
■ リクオート・約定拒否のリスク
スキャルピングは秒単位の戦略です。
リクオートが発生すれば、
● エントリー根拠が崩れる
● 想定外価格で約定
● 本来不要だった損切りが発生
薄利戦略では、
1回のズレが致命傷になります。
2. それでも成功しているEAの条件
では、なぜ一部のスキャルピングEAは生き残っているのか。
答えは明確です。
環境を支配しているから。
■ 超低スプレッド環境
ドル円で0.1〜0.3pips。
クロス円でも業界最安水準。
このレベルで初めて、
薄利戦略が成立します。
■ 高速約定(低レイテンシー)
VPSを利用し、
● 取引サーバー近接
● レイテンシー極小化
● スリッページ抑制
を徹底します。
スキャルピングにおいて、
通信遅延はコストそのものです。
■ 極めて高い勝率
平均利益が小さい以上、
● 勝率90%前後
● あるいは損失を極小化
といった設計が必要です。
勝率が80%では足りません。
コスト込みで勝てる設計が必須です。
■ 時間帯の厳選
スプレッドが安定する時間帯のみ稼働。
● 東京時間
● ロンドン時間序盤
● NY時間序盤
流動性の低い時間帯では、
薄利戦略は破綻しやすい。
3. 検証の落とし穴
バックテストで好成績。
しかしリアルで勝てない。
これは珍しくありません。
■ 検証時に必ずやるべきこと
● スプレッド1.0pips追加
● 固定スリッページ設定
● 手数料を明示的に反映
それでもPF1.5以上を維持できるか。
これが最低ラインです。
■ バックテストは楽観的
多くのバックテストは、
● 理想的な約定
● リクオートなし
● スリッページ最小
という環境です。
つまり、現実より甘い。
薄利EAは、
この差で簡単に負けます。
4. ハイリスク戦略である理由
平均利益10pips未満のEAは、
● コスト依存度が高い
● 環境依存度が高い
● ブローカー依存度が高い
つまり、外部要因に支配される戦略です。
これは構造的リスクです。
5. 結論
平均利益10pips以下のスキャルピングEAは、
一般的にはコスト負けしやすいハイリスク戦略です。
しかし、
● 最安水準の口座選択
● 超低遅延環境
● 現実的コストを加味した検証
● 徹底した時間帯管理
これらを実行できるトレーダーにとっては、
高頻度で利益を積み上げる手段にもなり得ます。
最後に
スキャルピングEAで問われるのは、
ロジックの優秀さではなく、
環境構築力。
コストを支配できない限り、
薄利戦略は生き残れません。
数字ではなく、
構造を見極めること。
それが実運用における分岐点です。






