EAポートフォリオのロット設計論
破綻確率から逆算する資金配分の考え方
EAポートフォリオ運用において、
最終的な成績を決定づける要素は何でしょうか。
ロジックでしょうか。
通貨分散でしょうか。
相関管理でしょうか。
いずれも重要です。
しかし、実務レベルで最も口座寿命に直結するのは
ロットサイズの設計
です。
ロットとは「攻め」の設定ではなく、
生存確率を決める設計値なのです。
最大ドローダウンをどう解釈するか
ストラテジーテスターレポートには、
必ず最大ドローダウンが表示されます。
多くの方はここで
「○%」という数字に注目します。
しかし、運用上本当に見るべきなのは
最大ドローダウンの絶対額
です。
なぜなら、パーセンテージは
資産の増加によって見え方が変わるからです。
例えば:
● 初期資金100万円
● 途中で200万円まで増加
● その後50%のドローダウン
この場合、
減少額は100万円。
もしそれが運用開始直後に発生したら、
口座は半壊状態になります。
したがって、ロット設計は
「最悪が最初に来ても耐えられるか?」
という視点で考えなければなりません。
勝率の高さは安全性を意味しない
高勝率EAは魅力的です。
しかし統計的には、
勝率が高いほど負けサンプル数は少なくなります。
その結果、
● 最大損失の信頼区間が広い
● 真のリスクが見えにくい
という問題が生じます。
特に、
1回の負けが大きい「コツコツドカン型」は、
バックテスト期間内に“本当の最悪”が出ていない可能性
を常に考慮する必要があります。
ロットを決める際に最も危険なのは、
「テスターで見えている最大DD=将来の最大DD」
と無条件に信じることです。
同一条件で比較する意味
EAポートフォリオに複数のEAを組み込む場合、
それぞれ異なる資金・ロットでテストしてしまうと
比較が成立しません。
合理的な方法は、
● 同一初期資金
● 同一ロット
で全EAをテストし、
● 最大DD(絶対額)
● 収益性
● リスク対リターン比
を横並びで評価することです。
ここで初めて、
どのEAにどれだけの資金を割り当てるか
の判断が可能になります。
資金効率とのバランス
ロットを下げれば破綻確率は下がります。
しかし同時に、
資金効率も低下します。
重要なのは、
許容可能な最大損失幅の中で
期待値を最大化する設計
です。
これは感覚ではなく、
数値で決めるべき領域です。
実効レバレッジという盲点
多くの運用者が見落とすのが、
実効レバレッジ
です。
EAは常に同じポジション量で動くとは限りません。
● 同時エントリー
● 分割エントリー
● ナンピン構造
これらにより、
証拠金使用率は変動します。
ロット決定時には、
● 最大実効レバレッジ
● 通常稼働時の中心値
を必ず把握しておく必要があります。
ここを確認せずにロットを上げると、
想定外の証拠金不足が発生します。
ロットは“攻撃力”ではなく“防御力”
ロットを上げると利益は増えます。
しかし同時に、
● ドローダウン幅
● 精神的負荷
● 破綻確率
も増加します。
EAポートフォリオは
長期運用が前提です。
短期的な収益拡大ではなく、
どれだけ長く市場に居続けられるか
という視点でロットを設計することが重要です。
結論:ロット設計がポートフォリオの成否を決める
EAの優位性はロジックで決まります。
しかし、
口座が生き残れるかどうかはロットで決まる
と言っても過言ではありません。
● 最大DDは絶対額で評価する
● 高勝率EAの統計的盲点を意識する
● 同条件比較で資金配分を決める
● 実効レバレッジを把握する
ロットサイズは単なる設定値ではなく、
リスク設計そのものです。
ポートフォリオ運用の質は、
ロット管理の質に比例します。





