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EAロジック設計論|第4章

 



 

EAは“寿命”を設計できる

― 聖杯は勝率ではなく生存率にある ―

EAの世界で「聖杯」という言葉は、
一部では永遠に勝ち続けるシステムを意味します。

しかし現実には、そんなものは存在しません。
相場は生き物であり、経済構造も周期的に変化します。
EAが永遠に同じ勝ち方を続けることは不可能です。

それでも私どもは、こう考えます。

「勝ち続けるEAは存在しない。
しかし、生き続けるEAは設計できる。」

この発想こそが、EAの“寿命設計”です。

 


■ EAにも寿命があるという前提

どんなに優秀なEAでも、環境の変化によりパフォーマンスが落ちる時期が来ます。
それを“死”と捉えるか、“寿命の一部”と見るかで設計思想は変わります。

寿命を考慮しないEAは、
「一瞬の勝ちを最大化する設計」になります。
寿命を前提としたEAは、
「負ける時期を計算に入れた設計」になります。

長く生きるEAは、必ず後者の思想を持っています。

 


■ 寿命設計の3原則

① ドローダウンを「発生前提」で組み込む

多くのEA開発者は、ドローダウンを“起きてほしくない出来事”として扱います。
しかし、長期生存EAにおいてドローダウンは「呼吸」です。

例えば、

・年3回の10%DDを許容

・その間に平均3%ずつ回復
この“リズム”こそが寿命の設計単位になります。

EAはリスクの制御ではなく、回復力の設計で生き延びます。

 


② 収益勾配を「緩やかに設計」する

瞬間的に資産曲線を立ち上げるEAほど、反動が大きく寿命が短い。
理想は、安定した勾配(平均年利10〜15%)を20年続ける設計です。

 


③ “寿命を延ばすロジック分散”を取り入れる

1つのロジックを磨き上げることも重要ですが、
生存を目的とするなら異質なロジックを併存させるほうが効果的です。

たとえば:

・トレンドフォロー+レンジリバーサル(ロールリバーサル)

・価格アクション+ボラティリティブレイク(スクイーズ&エクスパンション)

・異通貨ペア間のロジック相関を下げる

EAの寿命を「ひとつの脳」ではなく「複数の神経ネットワーク」で支える構造です。

 


■ 寿命設計とは「リスク曲線のデザイン」

EAを生かすも殺すも、ドローダウン率とリカバリーファクターの関係です。
理想的なEAは、“リターン最大化”よりも“リスク一定化”を優先します。

つまり、寿命を延ばす設計とは――

損失を減らすEAではなく、
損失から戻れるEAを作ること。

この発想に立てば、PFや勝率ではなく、
**「生存率」という新しいKPI(Key Performance Indicator)**が見えてきます。

 


■ 数字で測る「EA生存率」の概念

Myfxbookや自社検証で使える寿命指標は、次の通りです:

指標 寿命設計における意味 理想値目安
Max Drawdown 最大呼吸幅 ≦ 25%
Recovery Factor 回復力の強さ ≧ 1.5
Expectancy 平均期待値 0.05~0.15
AHPR / GHPR 資産の伸び安定度 ≧ 1.02
Risk of Ruin 破綻確率 ≦ 5%

これらの指標が安定して推移しているEAこそ、
“長期資産運用に任せられるEA”です。

 


■ トリロジーが目指す「生存戦略型EA」

トリロジーが15年にわたって追求してきたのは、
短期的に“勝つ”EAではなく、
長期的に“生き残れる”EAです。

勝てるEAではなく、生き残れるEAを作る。
その延長線上にしか「聖杯」は存在しません。

寿命を設計するという発想は、
EAを単なるプログラムではなく、生きた戦略体として扱うこと。
そして、その生存率を“設計可能な指標”として捉えることです。

 



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