BREXIT(ブレグジット)について…
BREXITとは、英国(イギリス)が欧州連合(EU)から離脱することを指します。
この言葉は「British(イギリス)」と「Exit(離脱)」を組み合わせた造語です。
📜 背景と歴史
▶ イギリスとEUの関係(加入〜離脱まで)
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1973年 | 英国がEC(欧州共同体:後のEU)に加盟 |
| 1993年 | ECがEUへ発展(マーストリヒト条約) |
| 2000年代 | 英国内で「EU懐疑論」が台頭(移民問題・主権問題など) |
| 2013年 | 当時の首相キャメロンが「EU離脱の国民投票」を公約 |
| 2016年6月 | 国民投票で離脱派が勝利(52%) → BREXIT決定 |
| 2020年1月31日 | 正式にEUから離脱(移行期間へ) |
| 2021年1月1日 | **完全離脱(移行期間終了)**し、独立した貿易政策などが開始 |
🧠 なぜ離脱したの?(主な理由)
✅ 離脱派の主張(Pros of Brexit)
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主権回復(国のルールは自国で決める)
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EU法に従う義務がなくなる
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裁判・法律・規制での独立性確保
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移民・難民の制限
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EUでは「移動の自由」が保障されており、他国からの移民が急増
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これが労働市場・医療・教育・福祉に圧力をかけた
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経済的負担軽減
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イギリスはEUに多額の拠出金を支払っていた
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離脱で自国優先の予算編成が可能に
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貿易の自由化
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EU以外の国(米国・アジアなど)と自由にFTA(自由貿易協定)を結べる
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❌ 残留派の主張(Cons of Brexit)
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経済への悪影響
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EUとの関税・貿易障壁ができるとGDPが下がる懸念
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企業の脱出(ロンドン離れ)
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EU市場へのアクセスを求めて金融・製造業がEU域内へ移転
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スコットランド・北アイルランドの独立運動
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スコットランドはEU残留派が多く、再度の独立投票機運が高まる
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自由な移動の喪失
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英国民がEU域内で自由に働いたり住むことが難しくなる
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🧮 国民投票の結果(2016年)
| 結果 | 得票率 | 票数(約) |
|---|---|---|
| ✅ 離脱(Leave) | 51.9% | 約17,410,000票 |
| ❌ 残留(Remain) | 48.1% | 約16,140,000票 |
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投票率:約72%(非常に高い関心)
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都市部(ロンドンなど):残留派が優勢
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地方・高齢者層:離脱派が優勢
🧭 BREXITのプロセス
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国民投票(2016) → 政治混乱(離脱条件で揉める)
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メイ首相が離脱交渉するも議会否決 → 辞任
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ジョンソン首相が就任 → 強硬離脱路線へ
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2020年1月31日:EUから正式離脱(法的)
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2020年末:通商協定(TCA)を締結し、移行期間終了
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2021年1月1日:完全にEUから切り離される
🔄 BREXITの影響(経済・社会・外交)
✅ 経済面の影響
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ポンド急落(国民投票直後)
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英国内のインフレ圧力、輸入物価の上昇
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多国籍企業が本社機能をEUへ移転
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関税・書類手続き増加 → 物流の混乱
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ただし、米・豪・アジア諸国とFTAを締結し始める
✅ 社会・政治の影響
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スコットランド独立運動再燃
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北アイルランドとアイルランドの国境問題(グッドフライデー協定との整合性)
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移民制限による労働力不足(物流・農業・医療)
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国内の分断(都市 vs 地方、若者 vs 高齢者)
✅ 金融市場・ロンドンの地位
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ロンドンの金融センターとしての地位に影響(パスポート制度喪失)
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一部金融取引(株式・デリバティブ)の拠点がEUへ移転
📊 数値で見るBREXIT後の影響(例)
| 項目 | 傾向(離脱後) |
|---|---|
| ポンド | 国民投票直後に約10%下落 |
| 英国GDP | 離脱によって年0.5〜1%減少との試算も |
| 物価(CPI) | 輸入コスト増により上昇 |
| 雇用 | 一部業種で深刻な人手不足(特に物流・農業) |
📎 補足:イギリスのEU離脱は初めてではない?
実は、**グリーンランド(1985年)**がECを離脱したことがあります。ただし国家ではなくデンマーク王国の一部。
イギリスのような「主要大国の離脱」は、EU史上初で極めて異例です。
🧭 現在の状況(2024年時点の知識)
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貿易・経済面では調整が進んだが、労働市場の問題は続く
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英EU間の関係は「離婚後の再交渉モード」
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スコットランド独立・アイルランド統一など、イギリス国内の統一性が試されている
📝 まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| BREXITとは | イギリスがEUを離脱する政治・経済イベント |
| 国民投票 | 2016年に実施。離脱派が僅差で勝利 |
| 理由 | 移民問題、主権回復、経済的負担など |
| 影響 | 貿易、通貨、雇用、政治的分断など多岐にわたる |
| 現状 | 離脱は完了。今後は英-EU間の新関係構築へ |
以下、詳しい内容(法的枠組み、通商協定の条文、金融業界への影響など)、特に以下の3つの観点から掘り下げます。
① 法的枠組み(離脱の法的手続き)
🔹 EU離脱の根拠条文:リスボン条約第50条(Article 50 of the Treaty on European Union)
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2009年施行の リスボン条約 によって、加盟国の離脱手続きが初めて正式に規定されました。
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第50条により、加盟国は 自国の憲法に従って離脱を決定し、EUに通知することができる。
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離脱表明後、原則2年間の交渉期間で新たな関係を協議(必要に応じて延長可)。
🔽 具体的な流れ:
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英国が 2017年3月29日、EUに離脱通知(Article 50 発動)
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本来は 2019年3月29日が離脱期限
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しかし英議会の承認が得られず、3度延長(最終:2020年1月31日)
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離脱後は移行期間(Transition Period:2020年12月末まで)を設け、通商協定などを交渉
② 英EU通商・協力協定(Trade and Cooperation Agreement)
BREXIT後の経済関係は、2020年末に締結されたこの協定(TCA)によって規定されています。
📘 正式名称
EU-UK Trade and Cooperation Agreement
📌 主な内容(概要)
| 分野 | 内容 |
|---|---|
| 関税・貿易 | 原則「ゼロ関税・ゼロ割当」だが、原産地規則や書類手続きが必要 |
| サービス貿易 | 金融を含む多くの分野では単一市場アクセス不可(例:金融パスポート制度喪失) |
| 漁業権 | EU漁船の英国水域アクセスを段階的に縮小(5年半の猶予) |
| 法執行・データ交換 | 英国はシェンゲン情報システム(SIS)から除外され、情報共有に制限 |
| 航空・道路輸送 | 双方で限定的なアクセスを確保、しかし利便性は以前より低下 |
| 学生交流(エラスムス) | 英国は離脱、独自の「チューリング制度」に切り替え |
⚠ 注意点
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金融業界向けの包括的合意は含まれていない
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「等価性(Equivalence)」による一部容認はあるが、一方的判断で撤回可能
③ 金融業界への影響(ロンドン・シティの地位変化)
🌍 BREXIT前のロンドン
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ロンドンは「EUの金融ハブ」として機能
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EU域内パスポート制度により、ライセンス1つで全EUにサービス提供可能
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デリバティブ・清算・保険・ファンド管理・為替など、多数の業務が集中
📉 BREXIT後の変化
| 分野 | 影響内容 |
|---|---|
| 金融パスポートの喪失 | 英国金融機関はEU市場で自由に営業できなくなる(支店設置やライセンス取得が必要) |
| EU向け取引の移転 | 株式・デリバティブ取引が一部アムステルダム・パリ・フランクフルトへ移動 |
| EU内拠点の新設 | ゴールドマン・JPモルガンなど、多数の米系銀行がダブリン・パリ等に拠点設立 |
| 清算業務の危機 | ユーロ建てデリバティブ清算業務がロンドンから移される動き(段階的リスク) |
| 人材流出 | 金融人材や企業の一部がEU域内に移転、ロンドンの地位に陰り |
🔍 EUの“等価性(Equivalence)”とは?
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金融サービスにおいて、EUの規制と同等の基準がある国に限定的な市場アクセスを認める制度
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イギリスは一部の分野で「等価性」が認められているが、
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一時的かつ条件付き
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EUの一方的判断で撤回可能
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長期的には英国金融業界に不安定要素として作用
🔚 まとめ:詳細から見るBREXITの真の意味
| 観点 | 影響 |
|---|---|
| 法的枠組み | リスボン条約50条に基づく離脱。前例がないため複雑化 |
| 通商協定 | ゼロ関税だが非関税障壁は増加。サービス業は大きく制限 |
| 金融業界 | パスポート喪失でロンドンの国際金融都市としての立場に打撃。ただし一部再構築中 |
さらに以下のような視点からも深掘り可能です:
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🔬 通商協定の全文和訳の要約
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📊 EU域内への輸出入統計(BREXIT前後比較)
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💼 英国の新たな自由貿易協定(TPP参加、米国、豪州など)
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🏛️ スコットランド独立投票の可能性とその経済影響
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🇮🇪 北アイルランド議定書と国境問題






