EAの平均寿命は何ヶ月? トリロジー公式レポート「EA寿命統計2025」
約700本のEA分析で見えた“破綻の法則”
株式会社トリロジーが2010年以降に公開・販売されたEAを対象に寿命統計を分析。EAが破綻※する理由、長生きする構造をデータで解説します。
※取得データの破綻定義は、口座破綻あるいはマイナス圏のFW更新停止とした
1. EAの平均寿命 — 現実は「1年未満」
EA(自動売買システム)は、一見すると安定的に稼働し続けるように見えますが、実際には想像以上に短命です。弊社が集計した約700本のEAのうち、平均寿命は8.7ヶ月。つまり、多くのEAが1年を迎える前にパフォーマンスを崩壊させています。
| 区間(月) | EA本数 | 比率 |
|---|---|---|
| 0〜3ヶ月 | 290 | 42% |
| 4〜6ヶ月 | 145 | 21% |
| 7〜12ヶ月 | 110 | 16% |
| 13〜24ヶ月 | 90 | 13% |
| 25ヶ月以上 | 55 | 8% |
出典:株式会社トリロジー「EA寿命統計レポート2025」
特に「ナンピン+マーチン」構造を持つEAでは、一方向のトレンドや高ボラティリティで破綻するケースが圧倒的に多く、半年以内に消滅する割合が6割を超えています。
2. ロジック別の平均寿命比較
EAの寿命には、ロジック構造が深く関係しています。下記は代表的な4ロジックの平均寿命比較です。
| ロジック分類※ | 平均寿命(月) |
|---|---|
| グリッド | 5.2 |
| ブレイクアウト | 9.4 |
| テクニカル指標 | 10.8 |
| フォーメーション他 | 15.6 |
出典:株式会社トリロジー「EA寿命統計レポート2025」
「グリッド(ex.ナンピン+マーチン)」型は平均寿命5ヶ月と短命。一方で、フォーメーションを用いたロジックは、平均寿命15ヶ月以上と3倍近い安定性を示しました。
トレンドと逆張りのバランスを週単位で取ることが、長期安定の鍵と言えます。
※ロジック分類は当社独自判断
3. ペイオフレシオとEA生存率
EAの「勝率」や「PF(プロフィットファクター)」だけでは長期生存を説明できません。代わりに有効なのがペイオフレシオ(平均利益 ÷ 平均損失)です。
| PF | 寿命(月) |
|---|---|
| 0.8 | 4 |
| 1.2 | 6 |
| 1.6 | 9 |
| 2.0 | 12 |
| 3.0以上 | 6 |
| ペイオフレシオ | 生存率(%) |
|---|---|
| 0.5未満 | 8 |
| 0.5〜1.0 | 15 |
| 1.0〜2.0 | 39 |
| 2.0以上 | 47 |
出典:株式会社トリロジー「EA寿命統計レポート2025」
分析では、ペイオフレシオ※が高いEAほど寿命が長く、レシオ2.0以上で生存率47%に達しました。勝率よりも“1回の利益が1回の損失をどれだけ上回るか”が、EAの生存確率※※を決めているのです。
※グリッドEAにおける勝率、PF、ペイオフレシオにはあまり意味がないことは広く知られている
※※取引手数料、スプレッド、スワップの多寡が運用パフォーマンスに大きな影響を与える
4. 結論 — 「EAは寿命を設計できる」
EAが短命に終わるのは偶然ではなく、設計思想の違いです。20年先まで資産を託せるEAを創ることこそ、トリロジーの使命です。






